今朝は少しもやってはいるが、ホテルからアルプスの山はなんとか見える。今日はエンゲルベルクのティトリス(3238m)のテイクオフを目指す。しかし、ティトリスに上がるゴンドラの山麓駅にある山頂モニタには、ただ真っ白な画像が映っているだけ。とてもテイクオフできるような状態ではない。そこで、やや高度の低い別のテイクオフへ。ゴンドラ山頂駅から少しばかり歩いたテイクオフは、程よい傾斜で正面には氷河が見える。
風が強いので、収まるのをしばらく待ってからテイクオフ。テイクオフ前でひとしきり写真撮影してもらった後に、低めの雲底近くまで上げて隣りの尾根へ移動。既に地元フライヤーが3機先行しており、もうその次の尾根へ向かっている。手早く上げ直して後を追う。
しかし、谷の中の向かい風で高度を失ってしまい、ちょっとのことで尾根の上に出ることができない。尾根を回り込むために前に出すが、尾根を巻く風で高度はじわじわと下がりだす。 ようやく尾根を回り込むが、対地高度が下がってしまい、この先まわりの状況が良く把握できない。まだ平地まで高度は残っているが、不案内な土地ゆえ早めに安全な牧草地の斜面に降ろす。
ランディングした近くで昼寝をしていた地元の母子に聞きくと、そばにあるゴンドラ中間駅まで10分ほどの歩きだという。駅まで歩いていくと、パラザックをかついだ3人組みに会う。先ほどまではゴンドラで降りるつもりだったが、彼らがこれから上がって飛ぶというので、一緒に上がることにする。
ところが、彼らは歩いて登りだした。行きがかり上一緒に歩いて登りはじめたものの、とんでもないことになってしまった。高度差250m程を死ぬような思いで登る。
しかし、無情にもテイクオフの吹き流しはサイドの風。既にランディングに降りたツアーメンバーからは、機体がバックするほど谷の風は強くなってきたと無線が入る。思いもかけぬ登山ですっかりエネルギーを使い果たしてしまった私は、早々にフライトをあきらめ、ゴンドラで麓まで降りることにする。かくして、最後をハイキング(?)で締めくくったスイスフライトツアーであった。
本日のフライト 1本で30分